ソンベー焼きとは
ソンベー焼きは、ベー川=Sông Bé周辺主にビンズン省とドンナイ省で古くから焼かれていた陶器です。(Sôngが川を意味するので、Sông Béはベー川ということになりますが、Googleマップではソンベー川と表示されています。ここではベー川とします。)
ソンベー焼きはベトナム北部のバッチャンの名産陶器、バッチャン焼きと対をなすベトナム南部の陶器です。

ビンズン省では、ライチウ、トゥーザウモット、タンウェンなどに窯元があります。ビンズン省の幹線道路13号線沿いには、多くの陶器店が並んでいます。
ドンナイ省ではビエンホア付近タンヴァン陶器地帯(khu gốm Tân Vạn)にいくつもの大小の陶器窯元があります。
失われつつある伝統
ベトナムビンズン省でソンべ焼きに描く若者の手仕事。
— ꈵꊿ꒐ꈵꑀ ꐔꌈꈜꌈꈵꑀ (@yusukekoike21) February 10, 2021
手先の器用さと一筆入魂の大胆さ。 pic.twitter.com/DpsIJ0QBmd
先日、NHKの番組「世界はほしいモノにあふれてる」にソンベー焼きが取り上げられました。上の動画は失われつつある伝統に興味を持ち、ソンベー焼きの窯元で働く22歳の若者の手仕事です。
ソンベー焼きがバッチャン焼きほど有名でないのは、古典的な石釉薬の使用をやめてしい、現在は化学釉薬を使用して大量生産化。その結果、かつての美しい手仕事をする窯元が減ってしまったことです。
一方のバッチャン焼きは模様や絵も伝統を守り続けていて、見た目ですぐにバッチャン焼きとわかるものが多いです。

ソンベー焼きの良さはベトナム南部らしく、伝統に縛られない自由奔放な美しさ。模様は、ベトナム北部文化、クメール文化、中国文化、フランス文化などさまざま影響をうけ、混ざり合っています。
あざやかな模様で飾られた白い釉薬を使用することが多く、青銅を背景として緑の釉薬を使用する陶器などもあります。良くも悪くも、北部のバッチャン焼きとは対照的です。
ソンベー焼きのビンテージ品は、手作り感があってぬくもりが感じられます。

しかし、現在市場に出回っているソンベー焼きは、国内外向けに工場で生産されているもので、大量生産のため高温で早く焼き上げて仕上げています。
本来のソンベー焼きは低温で時間をかけて仕上げるため、手触りや見た目にも柔らかさがあります。(ただし、割れやすい)
ベトナム南部は、伝統にとらわれず刷新的な反面、拝金主義なところもあります。上の若者のような伝統を守る人が減ってゆくと、古くから伝わる伝統が失われてしまう可能性があります。
ソンベー焼きのセレクトショップ
「世界はほしいモノにあふれてる」に紹介されてソンベー焼きのセレクトショップ「Sông Bé」のインスタです。
フォローして、美しいソンベー焼きを是非みていただければと思います。