ベトナム紙幣の裏面には、ベトナムを代表する建築や施設が描かれています。
日本の紙幣・貨幣を見ると、菊や桜など「花が描かれている」ことが多く、建築は「10円玉の平等院鳳凰堂」と「2千円札の守礼門」のみです。
ベトナム紙幣の表はホーおじさんの顔で見慣れていますね。
パッと見で金額を判断をするのに札の色が違うのがヒントになりますが、なぜか50万ドンと2万ドンが同じ色なので間違えやすい。
中国のように電子マネーが普及するわけでも無く、未だに現金社会のベトナムは日本のようです。
しかし、ほとんど貨幣(コイン)が流通しておらず、紙幣だけのお財布事情は、慣れると支払いも速いです。
ベトナムにいる間は誰もが所持するベトナムドン。
ホーおじさんの紙幣の裏には、ベトナム国内にある建築が描かれています。
「これどこだろう?」
って興味を持つ人は少ないとは思いますが、どこだと分かると意外な驚きがあったりします。
ベトナム紙幣の建築を眺めて旅した気分になってはいかがでしょうか。
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目次
5000ドン硬貨 一柱寺
#貨幣で旅するベトナム
— ꈵꊿ꒐ꈵꑀ ꐔꌈꈜꌈꈵꑀ (@yusukekoike21) May 2, 2020
最近は全く見かけなくなった5000ドン硬貨
描かれているのは一柱寺 pic.twitter.com/QYx0mAZbS2
2010年ころまでは、ベトナム硬貨も出回っていましたが、ここ数年ベトナム硬貨に触っていません。
硬貨一枚でものこしておけばよかった、と後悔しています。
詳しくみる>>一柱寺 (延祐寺) |Chùa Một Cột
5000ドン札 チアン水力発電所

5000ドン札に描かれているのは、ドンナイ省にあるダム(水力発電所)の施設です。
このダム兼水力発電所の施設は、ソビエトの支援で1984年から建設が始まり1988から使用されています。
ソビエト(今のロシア)とベトナムとの友好関係を表す代表的な施設が5000ドン札に描かれているのです。
詳しくみる>>チアン水力発電所|Nhà máy Thuỷ điện Trị An
1万ドン札 バックホー油田

1万ドンに印刷されてるのはファンティットの沖にあるバックホー油田です。
詳しくみる>>バックホー油田| Mỏ dầu Bạch Hổ
2万ドン札 ホイアンの寺橋

2万ドンに描かれているのは、ホイアンにある「寺」と「橋」の機能をもつ「寺橋」。
日本人には「日本橋」として有名です。
詳しくみる>>ホイアン来遠橋(日本橋)|Chùa Cầu Hội An
5万ドン札 フエの敷文楼

5万ドン札に描かれているのは、フエ王宮の外にある皇帝のための船着場です。
阮朝の皇帝はここで休憩し、景色を眺め船に乗りました。
10万ドン ハノイの文廟

10万ドンに描かれているのは、ハノイにある文廟です。
孔子さまが祀られれるお寺です。
詳しくみる>>文廟 | Văn Miếu Quốc Tử Giám
20万ドン ハロン湾

ベトナム紙幣20万ドン札に描かれているのは、みなさんよくご存知のハロン湾です。
よく見るとこの奇岩2つに別れています。
確度によってはくっついたり離れたり…Kissing Rockとも言われています。
日本語にすると接吻岩ですね。
歴史を紐解けば、ハロン湾は常に戦場の舞台となっていました。中国の宋や元は常に、ハロン湾を通りバックダン江(白藤江)からハノイへ侵略してきました。
侵略される度に、レ・ホアンやチャン・フン・ダオといったベトナムの英雄が中国船を打ち破ってきました。
ハロン湾は名勝としても有名ですが、ベトナム人の心には反中の反骨精神を表す場所にもなっているのだと思います。
50万ドン札 キムリエン博物館

50万ドン札の描かれているのは、ホーチミン氏の故郷ゲアン省にあるキムリエン博物館。
ホーチミン氏に関する資料などが展示されています。
故ホーチミン主席の故郷であるゲアン省に建てられた木造古民家型の博物館。この農村風景は、古くから強固な村落共同体を形成してきたベトナム人にとっての故郷を意味しているのでしょう。
詳しくみる>>キムリエン博物館 |Khu Di tích Kim Liên
おまけ 今はなき30ドン札
1981年発行の30ドン札

詳しくみる>>ホーチミン記念館 | Bến Cảng Nhà Rồng | Bảo tàng Hồ Chí Minh
1985年発行の30ドン札

まとめ
こうしてまとめてみると、ベトナム紙幣に描かれている建築は2種類に別れています。
外国人にとって有名な建築(場所)、そしてあまり有名でない建築。意外なことに、ホーチミン市に遺る建築は描かれていませんでした。
ここから読み取れることは、ベトナム紙幣に描かれている建築は、ベトナム政府にとって特別な建築である、ということ。
フエ王宮があれほど有名なのに、5万ドン札に印刷されたのは、なぜ王宮内の建築ではなくて敷文楼なのだろうか。王宮入り口に建つ午門こそフエ建築の代表的で荘厳な建築でベトナム紙幣に相応しいです。おそらく、敷文楼が「科挙試験」の発表の場であったことに関係があるのでしょう。
他にも、ベトナム紙幣に印刷されてもよいはずの建築はベトナムにたくさんあります。でも、ベトナム政府はなにかの基準を持って紙幣に描く場所を選んでいるはずです。
日本の紙幣は偽造防止対策のため、何度かデザイン刷新されています。昔の1万円札に聖徳太子が描かれていたことを知っている人も少なくなりました。
今後ベトナム紙幣のデザイン刷新されることもあるかもしれません。故ホーチミン主席は盤石ですが、裏に描かれる絵はその時代に合わせて変わっていくのでしょうか。
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